v.8.002

このプログラムについて

　「運動残効」と呼ばれる知覚現象を体験できるプログラムです。運動残効とは，一方向に動くパターンを観察した後に，静止した対象が逆方向に動いて見える現象です。このプログラムでは，拡大・縮小運動に順応（なれ）させることで，ものが大きくなったり小さくなったりして見える不思議な体験をすることができます（視野が大きく歪むのを体験できます）。知覚心理学の授業内デモンストレーションとして作ったものです。

　「プログラムをどうやって作っているんですか？」と質問されることが多いので，（いろんなやり方はあるのですが）こんな感じで作っていますというサンプルとして公開します。

　同梱のプロジェクトファイルはVisual Studio 2012のものです。

動作環境

[ハードウェア]

Windows PC

[OS]

Windows 7以降（XPなどでも動くかもしれないですが，手元にないのでわかりません）。

使い方

プログラム（MAE08002.exe）を起動すると，黒いウィンドウが開きますので，「MAE」というメニューから「大きいのがお好き(B)」か「小さいのがお好き(S)」かどちらかを選んでください。

図１　プログラムウィンドウ

すると，全画面に縮小（あるいは拡大）するパターンが提示されますので，画面中央をじっと見続けてください（30秒くらい）。このとき，できるだけ視線を動かさない方がいいので，マウスのカーソル（矢印）を画面中央に置いてそれを見つめるなどすれば，より効果がはっきりと体験できます。見続けた後は，視線をそらして何か手近にあるものを見てください。

図２　運動パターン

運動パターン提示中に［ESC］キーを押すとプログラムは終了して最初のウィンドウに戻ります。
［R］キーを押すと，運動方向が反転します。
［SPACE］キーを押すと，運動は一時停止します。再開するには再度［SPACE］キーを押してください。

制限事項等

作者（吉田）は，このプログラムの動作を一切保証するものではありません。ご自身の責任のもとでお使いいただくようお願いします。
広い視野にわたる運動刺激は，確率的には小さいものの，視覚誘発性のてんかん様発作を引き起こす場合も考えられます。光過敏性てんかんなどの発作経験や診断を受けたことのある方，幼児・児童には望ましくない効果がある場合も考えられますので，使用される場合には十分に注意してください。また，ジェットコースターの映像などが苦手な人には気分が悪くなる人もいるかもしれません。ご注意ください。
非営利目的（無償のプログラム）であれば，このプログラムのソースを参考にして使ってもらって構いません。研究目的の使用もOKです。ただし，著作権は放棄していませんので，その場合は本プログラムを使用・改変した旨を論文中や付属ドキュメントに書き添えていただければと思います。

その他

このプログラムは，60Hzのリフレッシュレートに設定されたPCで動かすことを前提に作っていますので，PCの画面設定によっては，期待した効果が得られないかもしれません。また，プログラムを動かしてみて，ぎくしゃく（ときどき一瞬止まるように）見える場合は，このサイトに掲載しているほかのプログラムでも期待通りのタイミングで画面更新がなされない場合があります（計測結果などに誤差が生じます）ので，厳密な測定に使う場合は考慮した方がいいかもしれません。
このプログラムでは，640×480ピクセルの仮想画面をメモリ内に作って，それを画面のリフレッシュに合わせてブロック転送することでアニメーションを行っています。
ソースプログラムにddex.cppというモジュールがありますが，これが私が視覚心理実験用に作った画面描画プログラムです。DirectX7の時代のDirectDrawの機能を利用しています。現在のDirectXは3Dが主体になっていますが，２次元でよければ，Direct2Dを使うよりもDirectDrawの方を使っています。なお，Windows XPより後のWindowsでは，画面を占有（ロック）して直接画面に高速描画するなどはできなくなったので，このサンプルに入れたddexは一番安全な方法で画面を利用するようにしたバージョンです。DirectXはDCOM（Distributed Component Object Model）というインタフェースでいろんな機能を提供するのですが，それを使ったプログラムはどうしても長くなるので，モジュール化することで開発効率を上げるようにしています。
MFC（Microsoft Foundation Class library）を使っているのも，単にウィンドウを用意したりメニューの応答をしたりするのをMFCに任せることで，書くコードの量を減らすためです（このおかげで，この程度のプログラムであれば，授業前の１～２時間で作ることができます）。

ダウンロード

zipファイルを解凍してお使いください。

運動残効デモ・プログラム（mae08002）のダウンロード…mae08002.zip

運動残効（Motion After-Effect）